見えない所の力持ち達。
今回は完成すると見えなくなってしまう部分を御紹介したいと思います。
家を支えているのは御存じの通し柱ですね。
この柱、家そのものの重さ(いわゆる重力ってやつ)を
支えるのはもちろんなんですが、
実は家が浮き上がる力に対しても頑張っているんです。
これが俗に云う地震力です。
地震には縦揺れと横揺れがあるのは知られてますが、
まず縦揺れ。
これは解りますね。
持ちあげられれば次には引き下げられるので、その時には引っ張る力がかかるんですね。
そして横揺れ。
滑らない所に置いた箱を横から押してみてください。
滑らないので、ある程度力がかかると押した側が浮き上がろうとします。
これが柱を引き抜く力。
建物に当てはめると、いくら丈夫な基礎が造ってあっても、土台や柱が基礎にしっかり固定してないと、
建物が基礎からゴロンと落ちてしまいます。
それを防ぐため、現行の建築基準法では、柱を直接基礎に固定するよう指示されています。
これが『ホールダウン金物』です。
今回の工事はその金物を取り付けるんですが、
そのためにはその力を受け止める基礎がなくてはいけません。
既存の基礎はブロック積みでした。
これでは大きな力のかかるホールダウン金物を受け止めることはできません。
ということで、建物の主要部分の基礎を内側に添わせる形で、
新たな鉄筋コンクリート基礎を造りました。
これで準備はオッケー。
基礎に埋め込んだボルトと柱に固定した金物をつなぎます。
金物の種類もいくつかあるんですが、
これは構造計算によって力のかかり具合を検討し、
その力の大きさに合ったものを選択して使用します。
金物には1トン用、1.5トン用、2トン用、2.5トン用などがあります。
それだけ大きな力が一本の柱にかかっているということなんですよ。
こちらは割と力がかからない部分の金物です。
基礎と土台を固定し、
土台と柱を固定するという間接的な接合方法です。
柱の根元だけではなく、頭の部分も同じように補強をします。
さらに写真上部に見えるナナメの部材は、
火打ち金物と呼ばれる部材。
建物の水平方向の力を担当します。
これがないと、建物がねじれて倒壊することになります。
通常こちらも完成後は見えなくなる部材です。
この火打ち部材を木で作り、
室内から見えるようにする場合もあります。
力強さが表現できるので、斜め天井の場合などに意図的に使います。
最近は建築金物も日々進化を続けています。
これも建築基準法の大幅改正があってから。
それまでは金物の使用方にも工夫が要りました。
特に今回のような後施工用の部材の種類は
各メーカーそれぞれの特徴をよく表しています。
それだけ耐震について世間の関心が高いということでしょうか。
最後に壁の補強です。
筋違い(すじかい)という言葉はよく聞くでしょう。
横からの力を担当します。
ただ、筋違いには引っ張り方向の耐力はありますが、
圧縮方向はちょっと苦手。
左右のバランスを考えて配置することが必要です。
そこで登場するのが構造用合板です。
板状ですから、引っ張りも圧縮もバランス良く受け止めてくれます。
『点』ではなく『面』で支えるので、
柱や梁にかかる負担を軽減でき、効率よく力を伝えることができます。
このように見合ない所で建物を支えてくれる仲間たち。
改装工事というと、表面上綺麗にするだけのような気がしますが、
本当は見えない所の方が大切なんです。
これからもこんなところ、
もちろん綺麗にする工事も御紹介していきますので、
御期待ください。

